ダンプカーの仕事と一次方程式
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ダンプカーの仕事と一次方程式
こんにちは、石嶌之広です。
このメールマガジンを発行し始めて14年以上になります。
ここ数年は本当に気まぐれに数か月に1回程度の配信になっています。
今日こうして私のお話を聞いていただけることは、めったにない偶然といってもよい機会といえると思います。
その偶然の時間を共にさせていただけることを心から感謝いたします。
3年と8か月ほど前のことですが、私は、学習塾を経営したり勉強についての
情報をこうして配信したりしている日常に、ダンプカーの会社に関わる仕事が加えられるようになりました。
私は、運送会社に21年間いましたが、その経歴の中で一般貨物運送事業の運行管理という
分野に関してはずいぶんと経験を積んできました。
そういうことがあり、ダンプカーの会社に関わることになりました。
ダンプカーの会社にて
運転手として活躍している翔也君(仮名)がいます。
若い社員ですが、あれこれ気遣いができて、メリハリのある仕事ができる子です。
今回、運転手を希望して入社したばかりの人に仕事を教えることになりました。
トラックの運転と現場で荷の積み降ろしをするのがダンプカーの主な仕事です。
翔也君は、人にダンプカーの仕事を教えるのは初めてです。
新入社員には何日か助手席に乗ってもらい仕事の流れを説明したのちに、こんどは翔也君が助手席にのり新入社員に運転をしてもらいます。
何日かしたのち、翔也君が私に言ってきました。
「もう無理、教えられない」
どうしてと私が聞くと
「だって(ダンプの荷台)を上げろっていうのに下げたりするんです。何回言ってもダメなんです」
ダンプの荷台の上げ下げを間違えたら現場の職人に滅茶苦茶怒られます。
特に下げる時に間違えて荷台を上げたら弁償問題にもなりかねません。
翔也君はその間違いがあるたびに顔が真っ青になったことでしょう。
そして現場の職人に随分と怒られたことでしょう。
人に何かを教えるということはとても大変なことです。
初めての仕事でも易々とマスターしてしまう「元々センスの良い人」もいますが「そうでない人」もいます。
「そうでない人」でも、しっかり仕事を覚えられて活躍できるようにしていくことが良い会社作りには大切です。
そのためには、教える人の意識も重要なポイントになってきます。
翔也君にはこのように言いました。
教える人の意識
「そうかわかった、それは大変だな。でもな悪いが、あきらめないでくれ、
そして怒られたら一緒に謝ってくれ。必要なら俺(わたし)もその現場に行って謝る。
そして何回も説明を繰り返してくれ。できるだけ優しく。
どうしようもない失敗をしたら笑うしかない。
あのさ、翔也(中学時代は勉強苦手で高校は中退)は一次方程式の文章題できるか?
中学生のころ出来なかったろ?
少しはやってみようかなと思って問題を読んでみたけどサッパリだったろ。
なんでかというと、翔也にそれを教えられる先生がいなかったからだ。
もしかしたら教えようとした先生がいたかもしれんが、翔也がマスターする前にあきらめてしまったんだ。
俺は翔也に一次方程式の文章題を教えられるよ、翔也があきらめて逃げさえしなければ、
だって俺はマスターするまで何回も説明するから。どれだけ時間がかかっても何日何か月何年かかっても。
実際、そうやって今も学校の勉強を教えてる。
そして何人も翔也の中学時代のような中学生に文章題ができるようにしてきた。
翔也、自分があきらめたらダメだよ。
翔也を担当した先生と同じことしたらダメだよ。
翔也も本当なら一次方程式の文章題ができたはずなんだよ。
とことんやろう、やれるところまでトコトン。
新人も翔也も俺も逃げたら終わりだ。
本当に大変だけれど頼むよ。
勉強が苦手な時
仕事も勉強も、センスがあって初めてのことでもスラスラとできるときとそうでない時があります。
そうでないときには、自分だけの力でなんとかするよりも、誰かを頼ってなんとかするというのが一つの方法です。
その時、頼られたほうは、あきらめてはダメなんです。
あきらめたり、そのような気持ちになったりしてはダメなんです。
絶対できると信じてもらって、実際に自分も信じることです。
どれだけ時間がかかっても何日何か月何年かかっても、とことんやることです。
勉強でも何回も失敗したら怒る人がいるかもしれません。
「なんであんたはいつも間違えるの」
「なんであんたは何回やっても出来ないの」
「さっき言ったばっかじゃない」
その時は素直に謝る。
普通ならくじけてしまいますが、そこでくじけないこと。
何回もできなければ悩むのではなく笑いましょう。
そしてひたすら何度でも繰り返す。
ダンプカーの仕事も勉強も一緒ですね。
今回は以上です。
石嶌之広