実をとるか満足度をとるか その2
実をとるか満足度をとるかについてその2です。
前回のような、ご利用者の満足度と学び環境を提供する側の納得度のかい離については、普段の学習にもよくあります。
今回は、その中の二つをお話しします。
宿題
学習塾は通常、宿題を出します。そうすることで教室で学んだことをさらに強化したり、より順調に学習を進めたりすることができるからです。
そして、宿題を出すことで家庭学習を充実させることもできます。
そのため宿題があると一番喜ぶのは、「生徒」・・・・・・・。
となるはずですが・・・・・・・。
実際は宿題があると一番喜ぶのは保護者かもしれません。
現在、ふくろうの森では、宿題を出していません。
以前は、宿題を出していました。使用するテキストによって出し方を工夫しながら、次回、教室に来るまでにやるべき課題をつくっていました。
宿題を出す学習は、仕組みの工夫がとても大切です。出題内容や教室での取り組み方法をしっかりしたものにしなければなりません。ずいぶんと工夫して実施していました。
宿題の履行率は、年度にもよりますがおよそ半々ですね。
「100%ではないの!」「宿題って絶対やるものじゃないの」ということですが、教室近隣の風土かもしれません。
「絶対」という厳しさが教室にも足りなかったかもしれません。
さて宿題の履行を厳しくするとどうなるかですが、「やる気をなくす」「塾をやめる」ことにつながる可能性がかなり高くなります。
つまり学習が継続しなくなるということです。
つい最近まで、しっかり教室に通い、熱心に勉強していた子が、「宿題をやらなかった」というタイミングでよく休みようになり、とうとう辞めてしまったということはよくある現象でした。
だから、宿題を出すことをやめてしまいました。その代り、無料で実施する特別講習を増やし、宿題で行う学習機会を補うようにしました。
さて宿題を出さなくなると、宿題が原因になる動機の喪失機会はなくなり、宿題を原因とする退塾もなくなったかというとそうではありませんでした。
宿題を無くしても宿題を原因とする退塾があるのです。
それはどうしてかというと「宿題を出さない」からです。
宿題が出ないと、保護者の方の不安と不満が発生するんです。
宿題が出ないことにあたる学習時間不足については、無料で行われる特別講習という学習機会がとられ、充分補うことができますが、「宿題がなくて不満」ということで、「もっと成績アップができる塾」に代わっていきます。
どうして「成績アップができる塾」という声が出るかというと、そういう不満があるケースでは、
宿題が出ないことで不安や不満を持つ保護者のお子様は例外なく特別講習会の参加率が低いからです。
その塾が持つ、実力をつける、成績を上げるための仕組みを理解していないということです。
学習塾にはそれぞれの学習システムがあります。それは、経営者や塾長が「こうしたら力がつく」「こうしたら成績が上げられる」と一生懸命研究して作ったものです。
そのシステムを最大利用することで、目的である実力アップや目標である成績を達成できるわけです。
塾を効果的に使うためには塾それぞれの特徴あるシステムを良く理解して、最大利用することです。
話が脱線しましたが、わたしの教室は、宿題を出さない塾です。それには理由があります。
そして、宿題に代わる方策があります。
ご利用者の満足に合わせて、この理由と方策を無視した、ブレがあったときには、満足度は高められても「実」を得ることができなくなる可能性が高くなってしまうということです。
「宿題」を出せば、満足度を高められる、でも、単純にそうはしません。なぜならば、私の教室は「実」を追及する塾だからです。
やりたい勉強をする
私の教室では、次にやる課題を生徒自身が決める機会が多くあります。
どのように学習を進めていくか「次にすべきこと」を自分で考えることが大切だと考えるからです。
そのためには、目標という到達点をしっかりさせておくなどの施策が必要です。
進め方の理論、特性、などを理解した中で、生徒自身が何をすることが自分にとってベストなのかを自分で判断します。
講師は、その判断の根拠になる部分のレクチャーやアドバイスをします。
大きく誤ったと思われる選択をしない限りは、「了解」という承認をします。
さて、その判断の際に、「自分がやりたいからやる」「飽きたからつぎこれにする」というような、あってはならない判断基準で決められたものには、厳しく、「NO!」とします。
もしこの時に、安易に承認すれば「本人がやりたい勉強」になります。満足度を高めることにつながるかもしれません。
「やりたい勉強ができて楽しい」と思ってもらうことができるかもしれません。
どのように考えたらよいかの説明と、実際に過去にあった例などでしっかり説明して、「NO!」の理由を理解してもらうことができれば良いのですが、そうした場合には「聞く耳なし」というケースが多いものです。
つまり不満が発生します。
塾はサービス業という側面がありますが、ここでサービスの在り方を違えてしまうと「実」を得られなくなってしまう可能性が高くなります。
塾にはそれぞれの学習ルールがあります。これをしっかり理解することで、塾利用を最大活用することができることになります。
それは、塾によって様々で、対比すれば真逆の考え方になることもあります。時には「なんで!!!」というものをあるかもしれませんが、それでも、真剣に生徒の実力向上と成績アップを求めて作られたルールであれば、その真逆の方法が真実ということです。
このような、生徒の「満足」を取るか「実」を取るかという選択もよくある場面です。
定期考査対策の際、テスト範囲の学習が終わっていないのには関わらず、「去年の過去問テストプリントやりたいです」というのもそうですね。やるべきことをやり、その上で「過去問プリント」で再確認というものとはかけ離れたものです。
過去問プリントは、普段の学習量がとても少ない生徒にとってアメ玉のような魅力があります。こうしたときの安直対策を承認することはありません。
「やりたい勉強」のときは、生徒自身が塾を信じて行動するならば、一時的は不満足があっても結果的に真実を共有することができる可能性が高いものです。
塾を理解することで足並みをそろえる
いずれの場合も、塾を利用して学ぶとき、塾への信頼がとても大切なところになります。塾の説明会や面談の機会があった時は、是非、100%利用して、その方針や方策を理解して塾を最大活用するようにすると良いと思います。